【J1:第20節】千葉 vs 鹿島

8月9日(土) 2008 J1リーグ戦 第20節
千葉 3 – 1 鹿島 (19:00/フクアリ/16,190人)
得点者:42′ ボスナー(千葉)、68′ 巻誠一郎(千葉)、70′ 本山雅志(鹿島)、77′ 巻誠一郎(千葉)

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鹿島は小笠原、内田、マルキーニョス、野沢を欠く布陣で、一方千葉側はベストな布陣。まずここが大きなポイントだった。試合開始直後は、鹿島に押し込まれる場面が目立ったが、巻のオフサイドによるゴール取り消しのあたりから、新加入のミシェウにボールを預けると、そこで十二分なタメが作れることが実証され、ミシェウを基点とした厚みのある攻めを展開することができ、首位と最下位の試合とは思えない試合展開になっていった。

ミシェウのボールキープと狙い済ましたスルーパスが目立っていた一方、斉藤に代わってスタメンとして名を連ねた戸田がピッチ上を上下運動を激しく行い、攻守のバランスを取り、要所要所で狡猾なファウルを犯して相手の攻撃の目を摘むプレイも見逃せないポイントだった。

ダニーロが不用意な2つのファウルにより早々にピッチからいなくなったことで、ジェフは試合をコントロールしやすくなったものの、10人の鹿島に対等に試合を運ばれていった。ただし、そこから青木良のオーバーラップに見られた積極果敢な攻めの感覚をつかんでいけたように思う。

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セットプレーの2得点については巻の真骨頂だと言えるだろう。ロングボールの対応に関しては、大岩、岩政に主導権を握られていたものの、2ゴールという十分な結果は日本代表にふさわしいプレーだったように思う。特に2ゴール目の低目のボールに対して頭で行ったプレイは、ドイツW杯前の最盛期の姿を彷彿とさせ、コンディションの復調をより印象付けられた。

それにしてもやはりミシェウ。ミシェウという前線での起点が生まれたことで工藤のオフザボールの動きはより効果的になり、今日は出場のなかった新居やレイナウドと組むことでさらなる可能性が生まれそうだ。

とはいえジェフは最下位。星取り勘定は必要なく、目の前の勝ち点、ゴール、そしてボールをつかんでいくことで最終節の試合終了のホイッスルを迎えるしかない。

【J1:第18節】千葉 vs G大阪

7月20日(日) 2008 J1リーグ戦 第18節
千葉 0 – 1 G大阪 (19:04/フクアリ/15,450人)
得点者:89′ 山崎雅人(G大阪)

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家に帰ってビデオを見て「ああ。橋本だったか。」と納得。

前半、山口・中澤の相手CBに対して巻は見方の最終ラインからのフィードをかなりの確立でマイボールにしていくも、下村・工藤・谷澤・根本との連携が取れないため、フィニッシュの形まで持っていくことができない。根本のクロスは非常に「危険な」クロスを相手ペナルティーエリアに放り込むも、そこに巻しかいなければ得点の匂いがしなくて当然だと思う。

イビツァ時代のビデオを見るとゴールのシーンにはジェフの選手が少なくとも4人は写っている。ほぼどのゴールのシーンでも。1人の特別な能力を持った選手がいない限りは、得点に関してはここに大きな課題があるような気がしてならない。今のジェフはカウンター主体の戦術を取っているのだから、カウンターを仕掛けるときに躊躇は必要ない気がするのは私だけだろうか。以前であれば、カウンターを喰らい数的不利の局面に陥ることで相手ゴールを許してきたが、今の「6バック」の布陣であればそう簡単にゴールされることはないだろう。だからこそ特に中盤の選手にはもっともっと思い切りのよさを求めたい。

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ロスタイムの失点は、悲劇ではなく必然であって、あそこまで一方的に攻め立てて岡本のすばらしいセーブでなんとか得点を防いでいただけであって、あれはガンバ大阪にとっての悲劇だったと理解しなければならないと思う。

また、失点の場面で外に張っていた橋本がスルスルと内に入りボールを受けたことで、あの攻めの形が構成されたことは見逃すことはできない。これが継続による力なのかもしれないけれど、今のジェフにはアイデアが足りなすぎる。まあ。この状況では精神面での余裕がなくて当然なのだが、ジェフには集中力を切らしてしまう選手が多いことを考えると、ただただ残念でならない。

【J1:第16節】千葉 vs 札幌

7月13日(日) 2008 J1リーグ戦 第16節
千葉 0 – 3 札幌 (19:03/フクアリ/12,494人)
得点者:2′ 中山元気(札幌)、13′ ダヴィ(札幌)、60′ ダヴィ(札幌)

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彼らは、目の前の相手選手ではなく「降格」の2文字と対峙し、そして敗れた。

前半を早々と2得点を奪われたが、過去に0-2の場面から逆転負けした試合は幾つもあるので、ゲームが決まってしまったとは思わなかった(むしろ思わないようにした)が、キックオフ直後から、相手の前線からの激しいプレスに圧倒され、選手たちが萎縮していくのを見ると、その希望がかなわぬものであることが徐々に悟った。

これまで何度も、そして何処でも言われてきたことだが、縦への動きつまり相手に向かって仕掛ける積極性にまるで欠け、セーフティに行き過ぎる傾向が強い。特定の選手には失望感じることが多いし、ボールを持ったときだけでなく、守備の場面でも不可解なポジショニングでクビをかしげる。戸田が復帰すれば解決するのだろうか。

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後半、巻と同時に投入された米倉はゴールが見えたら必ずシュートを放っていた。気持ちを前面に出ないものの(確かに守備面や見方の選手がボールを持った際の動き出しなどにはまだまだ課題が残るものの)「やるべきこと」を理解している彼のプレーの先に目指すべき答えがあるような気がしてならない。

【J1:第14節】F東京 vs 千葉

6月29日(日) 2008 J1リーグ戦 第14節
F東京 1 – 1 千葉 (16:04/味スタ/27,976人)
得点者:39′ 佐原秀樹(F東京)、68′ レイナウド(千葉)

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ここまでのミラー采配は非常に選手交代を行わない采配だっただけに、「このまま行ってしまうのか?」と不安になったが、早々に人数がだぶ付いていた中盤の選手(戸田)に代えて、フィジカル面で不安のある相手センターバックに対して巻を当てる交代を行い、これが徐々に機能することで、巻にボールを当ててそれをレイナウドや新居が拾うという選択肢が増えたこともあり、攻めにリズムが生まれてひさびさにサッカーが楽しい時間を迎えることが出来た。

結果としては、相手フィールドプレイヤーが8人の時の得点でもあるし、「もう1点」が奪えなかったことは今後を考えると非常に残念な結果だったが、試合終盤体力が落ちかけても、相手選手の最終ラインからフォワードまでの距離が延び延びになっているのに対して、なんとか布陣をコンパクトにしようと意志の感じるジェフの選手たちの意識をはじめ、内容に希望が見られるものだっただけに、今日はこの結果を認めるしかないだろう。

中断前の好調がまぼろしで消えてしまうことを非常に恐れていたけど、どうやらこれは現実のようだ。一度死んだはずのチームが、闘っている。すごいことだと思う。

【ヤマザキナビスコカップ】千葉 vs 川崎F

6月8日(日) 2008 ヤマザキナビスコカップ
千葉 3 – 2 川崎F (15:00/フクアリ/12,921人)
得点者:4′ オウンゴ-ル(千葉)、27′ 我那覇和樹(川崎F)、57′ ボスナー(千葉)、69′ 黒津勝(川崎F)、83′ レイナウド(千葉)

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「ミスを恐れるな。いい選手はミスをする。だからミスを恐れるな。」

ミラー監督が就任して5試合。リーグ&カップ戦を合わせて4勝1分。開幕リーグ11戦勝ち星ゼロのチームとは思えない結果。だが監督が言うようにカップ戦はリーグ戦ではない。カップ戦に優勝したからといって降格は免除されない。チームはまだ断トツのリーグ戦最下位。そのことをまだ忘れるわけにはいかない。

この日の川崎は、中村憲剛、鄭大世、井川、寺田、森の主力5人が不在だったこともあって攻撃に厚みが欠け、特にサイドでフリーになっている選手に対して適切な配球がなされない。そのためかジェフ側は楽に守る展開が続いた。特にラッキーな先制点の前後は、川崎の3バックのフォーメーションとの相性の良さもあって、ジュニーニョの個人技を除いては危なげない試合運びを見せていたように思う。ただし、なんでもないボールを岡本とボスナーが譲り合ってしまい我那覇の(訴訟での勝利に華を添える)ゴールが生まれてからは、川崎がフォーメーションを3バックから4バックに変更し、サイドでの数的不利に対してケアしたこともあって、大橋や田坂の攻め上がりから川崎ペースで試合が進行していった。

フィジカルで競り負けた上に技ありのシュートを見事に決められた黒津のゴール直後は敗戦を覚悟したが、ボスナーの31メートル弾丸フリーキックで同点にしてからは、相変わらず川崎に攻勢をかけられ何度も決定的なピンチを招くも運良くしのぎきり、最後は上手く抜け出した工藤からのパスをレイナウドがやっとゴールに流し込み勝ち点3を手にすることができた。

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勝利は収めたものの、課題の多い試合で、中盤での守備面ではオーガナイズされた連動した守備によって、相手に思い通りに攻めさせない形にできるものの、個人技で持ち込まれたり、サイドバックの裏をスピードを使って狙われるとなかなか厳しい。また、攻めに関しては、レイナウド頼りになってしまい、厚みのある攻撃を生み出せていない。リスクを冒さずに人数をかけないセーフティな攻撃がチームのルールとはいえ、点を取らなければならない局面でこれだけ攻めの点で選択肢がないのはいつか厳しくなりそうで怖い。ワントップにボールをキープでき決定力のあるフォワードがいれば話が違うかもしれないが、それはタラレバでしかない。

ただし、全体的に悪いわけではなく、チームの状態はとても最下位のチームとは思えないのでリーグ再開後慎重に・したたかに勝ち星を重ねて言って欲しい。残念なのは日程がすでに1/3過ぎてしまっていることか・・・。

しかし相手の8番の選手はあそこまで輝きを失ってしまっていてはこっちまでさみしくなってしまう。

【ヤマザキナビスコカップ】柏 vs 千葉

5月31日(土) 2008 ヤマザキナビスコカップ
柏 1 – 1 千葉 (16:01/柏の葉/8,644人)
得点者:44′ レイナウド(千葉)、78′ アレックス(柏)

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新居のポジションはセンターハーフだった気がするのは気のせいか。

後半、千葉の選手の足が止まりがちになり、前線と最終ラインとの間隔が間延びしていると、ミラー監督が猛然とテクニカルエリアへ駆け出し、両腕をちょうど前習えの格好で突き出し、それをぶるんぶるんと左右に振った。つまり「コンパクトにラインを保ちつつ動け」という指示をオーバーアクション気味に出していた。そして、両手をグルグル振り回し「気持ちを高めろ、声を出せ」という指示を出していた。熱い。

ワントップのレイナウドを残し、残りの選手がコンパクトでタイトな守備を展開していて、特に前半については、柏のフィールドプレイヤーがほぼすべて千葉陣内にいたにもかかわらず、あまり混乱することなく、特にマークの受渡しはスムーズに対応できていたと思う。そして、攻撃の局面でもチャンスの際には、適切な人数で組織的な攻めの形ができていた。ようやくJ1で戦える兆しが見えてきた。

Jリーグに対する知識が不足しているミラー監督が、Jリーグのレベルを低く見積もらない為にも、今日のような相手と戦うことができて非常に収穫があったように思う。ただし、今後いくら香港でのプレー経験がある監督とはいえ、高温多湿のこれからの時期は想像を絶すると思うので、その辺りの対策はスタッフに上手くサポートしてもらいたい。特に、まだ2試合だが交代策については消極的である可能性があるため、控え選手のマネージメントについては特にケアが必要になるだろう。

しかし、この試合は柏の選手について触れないわけにはいかない。まずフランサ。ブランクを感じさせない別次元のプレー。スタジアム中のすべての観客がフランサのプレー1つひとつに引き込まれていたことは間違いない。ポポ、アレックスとのブラジル人トリオを中心とした攻めはJ最高クラスだろう。失点してしまったがこの攻撃に相対したことは課題が顕在化した意味で非常に収穫があった。そして、新居のヘディングシュートを片腕で止めた菅野。ミラー監督も賞賛していたが、あの至近距離でしかも新居が狙って足元にたたきつけたヘディングを手で反応してしまった。そりゃ南がポジションを奪われるわけだ。

【J1:第13節】千葉 vs 大分

5月17日(土) 2008 J1リーグ戦 第13節
千葉 1 – 0 大分 (16:05/フクアリ/11,616人)
得点者:27′ 谷澤達也(千葉)

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「守備的ミッドフィルダー」斎藤を補強できていなかったら勝ち点は2のままだった。ミラー監督は「クラブは成長した」と語ったが、成長したのではなく「思い出した」のが正しいかも。工藤が走る姿を目の当たりにすると「あの頃」のサッカーを思い出し、彼の成長に感慨深くなる。

相手の3バックに対してレイナウドが1トップで当たる形を取り、相手の攻めに対しては、自陣に5メートルほど入った位置からしかプレスを掛けない守備で、自陣での数的優位を作り出し、パスの受け手を2~3人で潰す組織的な守備が機能し、前半は相手の攻めの形をほとんど機能させなかった。ああいう場合は、最終ラインの選手が攻めあがることで守備の連携を崩すことが定石だと思うのだが、前半の大分はそういった攻めを展開することはなかった。

後半に入って千葉の選手のスタミナが減ることによって、前半の機能的な守備は徐々に「完璧」でなくなり自陣で相手にパスを回されるようになり、下がりきったポジショニングと巻が入るまで前線からプレスしない守備は、大分の一方的な展開を生んでいた。

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大分のウェズレイには去年ハットトリックを決められ、コーナーキックから直接ゴールした得点もあったので、コーナーキックの度に失点を覚悟したが、選手がよく集中し(そして多分に運もあって)奇跡的に失点を防ぐことができた。それにしてもウェズレイはウェイトオーバーとボールがもらえないとすぐ後ろに下がるポジショニングのまずさで、退場者を出していないのに11対10で戦っている様で少し楽な展開だったかもしれない。

本当に危機的な場面では、文字通り全員守備で当たり、ロスタイムでの相手ゴール前でのフリーキックでは、カウンターを危惧しフリーキックを蹴りこみたいボスナーを自陣に戻した場面などは、チームの意識が一丸となっているようでうれしかった。

谷澤の得点は80%は新居が生み出した得点。レイナウドへのクロスもそうだが、新居はクロスの制度も高くすばらしい。得点感覚もあるし、守備も厭わなくなってきているので、チーム全体の連携が高まれば、とても危険な選手になれるかもしれない。

それにしてもあの斎藤のロングシュート。止めた西川が一枚上手だったけど斎藤の足から繰り出されるとは。入らなかったけど最高だった。

英国から毎日「最下位」と言われる日々

Owen a possible target for Japan’s Chiba

日本在住の記者が書いた記事だけど、UK版のロイターに載った。にしても毎日「the bottom」と言われると、だんだんはずかしくなってきた。しかし、最下位なのにオーウェンを獲ろうなんて、なんてアブラモビッチなんだろう(笑)。

よくみたら他でも記事になってら。

しかしマンチェスターユナイテッドと選手獲得を争う(とウワサされる)とはねえ。

[news] 千葉が今夏FWオーウェン獲得か

千葉がイングランド代表FWマイケル・オーウェン(28=ニューカッスル)獲得に動いていることが12日、分かった。アレックス・ミラー監督(58)体制の目玉として、01年の欧州最優秀選手をリストアップ。オーウェンは現在クラブとの契約延長交渉が難航中で、今夏は獲得の好機とみられる。千葉はすでに、複数の代理人を通し接触を試みている。交渉が進展すれば、本人とパイプを持つ指揮官も出馬させる構えだ。

こういうのは日産とか浦和とか神戸でお願いします。明らかにバランスを欠くし、チームとして機能するのか「祭り」が終わった後にクラブに何が残るのか(きっとひずみだけがのこる)ことを考えると賢明な選択とは思えない。てっきりキューウェルにオファーしているものと思いましたよ。でも、キューウェルは去年のアジア杯を見る限り、すぐ倒れたりファウルをアピールしたりメンタリティの低いプレイヤー化していたので、来てもちゃんとプレイするかどうか微妙かと。

そもそもいまウチに必要なのはFWというより守備の選手な気がするし。こんな金あるんなら降格を心配していた赤の22番とか買い戻すべきかと。