【J1:第33節】湘南 vs C大阪

11月28日(日) 2010 J1リーグ戦 第33節
湘南 0 – 4 C大阪 (13:03/平塚/8,775人)
得点者:53′ 丸橋祐介(C大阪)、62′ アマラウ(C大阪)、65′ マルチネス(C大阪)、88′ オウンゴ-ル(C大阪)

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江尻監督は自らの理想とするサッカー像をバルサに求めたけど、お手本は実は国内にあった。

セレッソ大阪の試合は今シーズン開幕戦の大宮戦以来。
この試合は香川もまだ在籍中で、非常にセレッソのサッカーを楽しみにしてNackスタジアムに向かったけれど、結果はホーム大宮が3-0と圧勝。セレッソは大宮の中盤の激しいプレスに押されて、自らのサッカーを全く展開できず、さすがの香川・乾でさえもJ1には通用しないかと肩を落としてスタジアムを後にした(本当は昼食でノロウィルスに当たり観戦どころではなく死ぬ思いをしてスタジアムを後にしました・笑)。

あの日の結果から現在の3位と勝ち点差1の4位というのは想像できず、セレッソ躍進の理由をこの目で確かめるべく平塚競技場へと足を運んだ。

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昨シーズンは共にJ2で戦った2チーム。降格が決定したとはいえ、湘南が守備に集中しカウンター狙いに絞ることで、試合をものにする可能性は十分にあると予想しながらキックオフの時を迎えた。
実際、戦前の予想通りの戦術を湘南は取ったが、セレッソのサッカーは私の予想を遙かに超える完成度を見せていた。

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セレッソは、家長、清武、乾、マルチネスを中心に攻撃を組み立てたが、右サイドバックの酒本の使い方が上手く、特に前半は右サイドから効果的な崩しを見せていたが、それはマルチネスを中心としたロングフィードの精度の高さが為せる技であった。
試合中グラウンダーでのパスばかりでなく、放り込みでもないロングパスを後方から前線に向けて放つのだが、キックの精度もさることながら受け手のトラップの技術も高く、面白いようにパスが通る。それにより人数が足りているはずの湘南守備陣は、左右前後に振られ気がつけば数的不利の局面を作られていた。その上、セレッソは守備でも攻撃でも1対1での強さを見せたため、湘南の守備の網を簡単にかいくぐり、相手ゴールへと迫ることができた。

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さらには、サイドからの崩しだけでなくスローテンポでのポゼッションからの攻撃でも、家長や乾が相手に囲まれながらもボールを受けパスを出せる、または相手の裏を付いて相手を交わしてドリブルに持ち込めることを簡単に行えるので、湘南は前半も後半も一方的に攻め込まれ続ける展開が続いた。

この日の家長はパーフェクトだったが、そこに乾、清武、マルチネス、アドリアーノと技術とコンビネーションが完全にできあがったメンバーが絡むことで、面白いようにボールが繋がり、近年まれに見ぬレベルの「金が取れる」サッカーを見ることができたように思う。

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このサッカーの形は今期ジェフの江尻監督が目指したサッカーの形と同系統にあるように見えたが、選手の技術レベルの差とボールを深い位置から左右に振り分けるマルチネスの役割を果たす選手の起用(中後がいたのだが使いこなすことができなかった)など、江尻千葉サッカーに対する模範解答を見せつけられた気がした。江尻監督はバルサの試合を見る前に国内のサッカーに目を向けるべきだったのだろう。

ただ、この点、特に「選手の技術レベルの差」に関しては、それだけの選手をそろえることができたセレッソ大阪の梶野智強化部長を称えることを忘れてはならない。Numberの「なぜセレッソはJで急成長したのか?成功し続ける名強化部長の秘密」。の記事に詳しく解説されているが、こうした選手を計画的に時間をかけて集め・育てたことは非常に参考になると思う。

何よりジェフは1年で成果を出すことに拘ったことに今は大きく後悔するべきだ。

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