2010FIFAワールドカップ南アフリカ デンマーク vs 日本

6月25日(金) 2010FIFAワールドカップ南アフリカ
デンマーク 1 – 3 日本 (03:30/ロイヤ/27,967人)
得点者:17′ 本田圭佑(JPN)、30′ 遠藤保仁(JPN)、81′ トマソン(DEN)、87′ 岡崎慎司(JPN)

開催国枠での出場が初出場という屈辱以外の何者でもない危機を崖っぷちから救い出し日本を初めてワールドカップへ導き、前回大会のドイツ大会からの危機的状況にあったサッカー人気の低迷に希望の光を差した今回のグループリーグ突破。日本のサッカー界は岡田武史に2度救われた。

前半の立ち上がり、岡田監督自身が「立ち上がりは少し攻撃的な4-2-3-1という布陣で臨みました。しかし、中盤のゾーンの間、間を使われて、ボールを回されてピンチを招いていた。急いで 元の4-3-3に直して、なんとかディフェンスが安定した」。と語るように、トマソンが中盤のスペースに顔を出すことで、相手の攻撃にリズムが生まれ、特に後方からのロングボールからの攻めに肝を冷やす展開が続き、大量失点での敗北を予感させました。

ですが、その肝心のトマソンが決定的な場面を何度も外し、流れが日本に傾きかけたところで本田の見事なフリーキックが決まり、あとはもう少しデンマークがゲーム序盤の攻撃をがまん強く続けられていれば違う結果になってかもしれないところを、レジスタとして機能していたヨルゲンセンを早々に下げてしまうなど、自ら墓穴を掘り早々にワールドカップの舞台から去る結果となりました。

ここにきて日本代表は、本番に入って急激にチーム力が高まったと言われていますが、グループリーグ突破という快挙を生み出した要因としては以下の4点を挙げることができると思います。

  1. 本番直前の戦術変更。プレッシングからリトリートへの変更つまりアクションから指揮官が最も得意とするリアクション・サッカーへの180度の方向転換。
  2. 高地対策を含めたコンディショニング調整の成功。ほぼ100パーセントの力で戦える状態に。
  3. Jリーグ、ACL、天皇杯と過密日程にありコンディションを崩していた遠藤を初めとする主力選手の復調。
  4. 大会公式球ジャブラニへの順応(Jリーグ公式試合球に採用し早くから順応)。

そもそもワールドカップ期間中は、Jリーグ開催期間の真っ直中にあり、コンディションはピーク近くにあります。過酷なシーズンを終えたばかりの欧州に比べ優位な状態で臨めていることは間違いありませんが、欧州を中心とした国々が調整に失敗し、本来の力を出せず苛立ちを抱えたまま敗退していくのに対し、まるで一流企業の様な手堅いマネージメント力を発揮し、事前の準備を完璧にこなし、ほぼ100パーセントの力で試合に臨み勝ち星を手にする日本の「大人の」対応に日本人として誇らしいものがあります。

大人の対応といえば試合運びもさることながら、かつて盲目的な攻め急ぎでボールをロストし、カウンターから失点をしていたあの姿からは想像も出来ないほど落ち着いた対応は見事です。
前線でゆっくりと確実にボールを回し、かつ周りの選手も有効に使えるその余裕のあるプレーをワールドカップの大舞台で世界に対して披露できる日が来るとは誰が思ったでしょう。

ドイツでの屈辱的な敗退とうやむやにされてしまった責任問題のせいで、この4年間日本代表スタッフやJリーグのファンは非常につらく悲しい時期を過ごしました。
首都圏での地上波の放送はほぼ無くなり、TBSスパサカの事実上の打ち切りなど、人々が国内リーグの情報に触れる機会はほぼ無くなってしまいました。動員人数は何とか維持しているものの、明らかに若年層つまり子供や10代・20代の観客は少なくなり、間違いなくサッカーは斜陽の時代に突入していたと言えるでしょう。

そうした不遇の時代に、自らの能力を高め世界と真っ向から勝負し、さらに結果を残した岡田監督を初めとする日本代表に関わるすべての人々に心から敬意を払います。そしてこの4年間どれだけ厳しい条件の中でもスタジアムに足を運び続けたJリーグの各チームのサポーターたちとこの勝利をよろこび合いたいです。これは私たちの勝利でもあります。

最後に、まだJリーグのスタジアムに足を運んだことが無い方、もしくはリーグ創設直後以来しばらくご無沙汰な方は、ワールドカップが終わったら是非ともJリーグもしくはJFLの試合を見にスタジアムに足を運んで見てください。

今日味わった感動や興奮が、あなたの街やほんのちょっとだけ電車を乗り継いで行ける街で、ほんのちょっとだけ人よりサッカーに魅せられた人たちに見守られながら、あなたの「日常」として存在しています。そしてそこでの感動や興奮は、その街から世界に今日のこの日のようにこうやって確実につながっているのです。

Leave a Reply

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>