緻密に計算されたギターのリフはさらに磨きがかかり、まるで名作と言われる建築作品のような構造美を表現するまでになり、前作「Antidotes」とは打って変わった(自己を押し殺したというより)何かを達観することで生まれた抑制により、今作が帯びる精神性はかつてない高みへとわれわれを誘うほどのものになったと言える。
前作では悪乗りのアート性を前面に押し出していただけあって、この方向転換には大いに驚いたが、よくある「賢く見られたい」といったくだらない虚栄心から来る方向転換ではなく、そもそもFoalsが有するリフの構造美を突き詰めることで到達することができた世界観であるだけに、われわれは諸手を上げて歓迎することができるだろう。
Foalsは大人になり音楽の針を前に進めた。こんなうれしいことはひさしぶりだ。
Total Life Forever
Foals