アレックス・ミラーは代表監督に適任か?

日本代表がウズベキスタンに引き分けたことを受けて、岡田監督を解任しミラー監督を日本代表監督に!という声が聞こえてくるようになった。

現在のジェフの好調な成績を受けてこの様な声が上がっているのだと思うが、
正直なところ以下の理由から日本代表が強くなるか?と問われても「イエス」とは言えない。

セレクター型ではなくトレーナー型
指導スタイルは完全にトレーナー型。練習を見れば一目瞭然なのだが、トレーナーとしての仕事ぶりは完璧で、動きに全くムダがなく、リバプールでのキャリアが本物であることを確認できるが、試合中の采配に関しては非常に手堅く、奇手奇策の類は全く持ち合わせていない。
オシム監督の様に「日本型のサッカースタイルをつくる」といった明確な目的がない限りは、代表監督に関してはセレクター型の方が望ましいと考えるので、その点ミラー監督はベストな選択ではない。
過去実績に見劣り
指導者としてのキャリアは、1982年に香港の南華足球隊の選手兼監督という形でスタートしたが突出した実績は残していない。オシム監督がW杯、ユーゴスラビア、ギリシャ、オーストリアの各リーグでタイトルを獲り、決して戦力的には満足とは言えないオーストリアのクラブシュトゥルム・グラーツを率いてチャンピオンズリーグの2次リーグに進出しているのに対し、かなり見劣りがする。
ただし、チャンピオンリーグ優勝などリバプールでの実績は偉大だが。
サッカースタイルは完全にイングランド式
西部謙司氏に「予想以上にブリティッシュ・スタイル」と言われてしまうほどの硬直的な「フットボール」スタイル。ロングボールを主体とし「ポゼッション?なにそれ?」なカウンタースタイル、そしてフィジカルというより肉弾戦をベースとした戦い方は、アジアでは通用してもオーストラリアをはじめとする欧州型の体型の相手には、全く通用しない可能性が高い。

こうしてみると、わたしがミラー監督を嫌っているように思えてきたのだが、たしかにサッカーのスタイルに関しては共感できる部分はあまり大きくはないけれど実際はまるで逆で、練習を初めとする仕事振り(しかも練習中はジャージだけどクラブハウスへの往復はスーツで登場)には真のプロフェッショナルを感じ、ターンオーバー制を成り立たせている選手たちのモチベーションコントロールについては本当にすばらしい。

「イスタンブールの奇跡」と言われるチャンピオンズリーグ決勝でミランに0-3でリードされ、ハーフタイムで意気消沈した選手たちを「サポーターのために1点決めて来い!」と奮起させたという逸話は事実だと確信した。

何より、例え残留に失敗したとしても「11試合で勝ち点2」と国内外から嘲笑されボロボロになってしまった私たちサポーターの「自尊心」をここまで回復させてくれたことは、本当に感謝し尽くせない程感謝しているし、私自身の今後の人生においても大切な財産になると思っている。

そんな監督を「今回も」はいそうですかと差し出せるわけなでしょ(笑)。

参考記事