史上初のJ1昇格プレーオフの初戦。正直、どの様な戦いになるか想像するのが怖かった。だが、終わってみれば現実感のない4-0という大差での勝利。
試合開始直後、慎重なゲームの入り方をすると思われた横浜FCはターゲットの大久保を中心に千葉ゴールに襲いかかってきた。その攻撃を耐え忍ぶと風下に立ち不利な千葉は不安定な形ながらも徐々にボール支配率を高めていった。
ただでさえ「引き分け」では即敗退となる千葉は、先制されることを何より避けなければならなかった。しかも、晴天の天候の下では、ホームゴール裏からアウェイゴール裏に向かって強風が吹いていた。その影響もあってか正確にパスを繋ぐよりアバウトな組み立てで互いにチャンスを伺っていた。
コンパクトな守備で相手の攻撃を受け止めボールを支配した千葉だが、最終ラインの前に対するプレッシャーが厳しく藤田の足元にボールがなかなか入らない。
「さて、どうしたものか」と見ていると、この日のジェフの選手は非常に落ち着きを見せ、風の流れを計算したロングボールを裏のスペースに入れる攻撃に切り替え、「いやな軌道を描くな(苦笑)」と思って眺めていた勇人からのボールは、相手ゴールキーパーの判断ミスを誘い、いともあっけない形で藤田が待望の先制点を決めてくれた。
この日のジェフはここ数試合の「普段通りの姿」を披露していた。得点を記録した藤田・米倉、アシストでの貢献が光った勇人・兵働のプレーも光っていたが、良い判断で狭い局面からの左右にボールを散らしていた佐藤健太郎のプレーが最も効いていた様に見えた。
2点目を奪ってからは完全に肩の力が抜け、 後半は人とボールが連動した繋ぎのプレーを披露したり、終了直前には谷澤が白い歯を見せながら笑顔でプレーしている姿を見ると、こうした生死を分ける重要な試合でもサッカーを楽しんだ者勝ちだな、と改めて思った。
逆に追い込まれて縦に一辺倒な単調な攻撃は、どうせ良い結果をもたらさない。
肩の力が抜けていたのは選手だけではない。
木山監督の交代策も、前線の枚数を増やしてきた相手に対応して大岩を入れることで守備を安定させ、加えて荒田・大塚を追加投入し決勝に向けての準備するという理に適った選択は、チーム状態の悪い時期にはない聡明さがあった。本当にロボとはなんだったんだろう。
23日の大分との決勝戦に関しては、前回のホームの借りを返すこと。彼らにフクアリに敗れなければ自動昇格していたかもしれない借りを返すことだけを考えて試合に臨んで欲しい。そして、今日の試合の様に楽しいサッカーを見せてもらうこと。それだけが私の願いです。