J2:第32節 栃木 vs 千葉

10月23日(日) 2011 J2リーグ戦 第32節
栃木 0 – 0 千葉 (17:03/栃木グ/5,998人)

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試合2日前の10/21(金)にドワイト監督の劇的解任が発表され、たった2日間の練習で神戸新体制はこの日の試合を迎えた。表向きの発表では「神戸監督」だが、実質的にはB級ライセンスしか持たない前U18コーチの菅原コーチが試合の指揮を執っている、いわば「菅原体制」の出発だ。

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この日の菅原コーチのサッカーは、簡単に言うと「密集と展開」。中盤で相手の攻撃をブロックして、そこから外→内→外とボールを運び空いているサイドのスペースを突く攻撃が機能していた。たった1試合だけでは断言できないが、ピクシーの名古屋1年目のサッカーに近い印象を受けた。

奇しくもストイコビッチ監督も、ドワイト監督がコーチを務めていたセフ・フォールセン監督の後を継ぎこのスタイルを採用し、「前例」が存在していたことから、勇気を持って実行できたというのは言い過ぎだろうか。(当時の名古屋のメンバーは竹内・山口・渡邊・藤田そして深井と5人もいる。神戸監督と菅原監督もそうだ。)

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この日のサッカーは、栃木の松田監督には「非常に固めてきたなという感じだった」と評されたが、ドワイト時代に漂っていた閉塞感をこの日は感じることはなかった。守備から攻撃への切り替えの速さ、サイドバックの中盤の追い越し、中央の伊藤・村井の前への抜けだしや、その両選手が狭いスペースから出したボールに反応する形で生まれた久保・米倉・深井の裏への飛び出しなど、「素直な」サッカーが繰り広げられていたことは間違いない。

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だが、この日勝点3を手に出来なかったことが証明するように、課題がなかったわけではもちろんない。

フィニッシュまでのビルドアップは改善されたがゴール前の迫力に欠け怖さがなかったり(久保を責めるつもりはない)、時間を追うにつれまずはサイドバックそして中盤と運動量が低下し攻撃に厚みがなくなったり、意図的なのかそれとも固まってしまったのか過密日程の折り返し日だというのに交代枠2枚を残した指揮官などチームの根幹にかかわる部分に課題が見え隠れしているような気がしてならない。

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最後に、この日の試合を通してわかったことは2つある。それは、ユースの育成方針は間違っていない。そして、神戸TDと菅原コーチは、来期は元の職に戻らなければならないということだ。以前、西部謙司さんが「江尻さんはユースのコーチにして10年続けるべき」と語っていたが、少なくとも菅原コーチには10年以上ユースを指導してもらいたいと強く願った。