3月6日(日) 2011 J2リーグ戦 第1節
北九州 0 – 3 千葉 (13:03/本城/3,359人)
得点者:33′ 深井正樹(千葉)、54′ 米倉恒貴(千葉)、72′ オーロイ(千葉)
相手ディフェンダーがシュート体勢に入った米倉の前に身を乗り出しシュートコースを塞ぐかに見えたが、米倉は素早い足の降りでボールを蹴り、ゴール右上にこの日チーム2得点目となる強烈なゴールを突き刺した。
前シーズン「敗退」としか言いようのないシーズンを送り、ジェフは2011年シーズンもJ2を戦いの場として身を置くことになった。開幕戦はアウェイのギラヴァンツ北九州戦。前日の好天がウソのような冷たい雨が降りしきる中、ジェフは新たなシーズンをスタートさせた。
ミラー監督時代を彷彿とさせる最終ラインからの放り込みで2011年のジェフユナイテッド市原・千葉はシーズンの幕を切った。堅さもあったが何より慎重にゲームに入ろうとしている姿勢はうかがい知れた。しかし、ちば銀カップではこれが試合を通して続いたこともあって、自分の中でこの試合だけでなくシーズンを通して「これ」が続くのではないかと不安に思いながら試合を見守っていた。
PKでの先制点をあげるまでジェフのこの放り込みは続いたが、中盤を省略するこの攻撃の形は(攻撃の選択肢がどれだけ手元にあるのか分からず、「今年はこれしかないのでは?」と疑心暗鬼になった自分の心理面が拍車を掛け)ハッキリ言って見るに堪えられなかった。一方ピッチをワイドに使って攻め立ててくる北九州にいつやられてもおかしくない状態で、さらにジェフはセカンドボールを拾えず放り込みさえ上手く機能していなかったため、強く冷たい雨に打たれていることもあってここ本城競技場まで来たことを後悔しつつさえあった。
だが、先制点を上げてからは徐々に攻撃の形も多彩になり、特に左サイドバックの坂本から深井への裏のスペースを狙ったスルーパスからの攻撃は1つの形になっていた。
オーロイ、サンダー、マットの3外国人選手がベンチに退いてからは攻撃の選手がすべて昨季の選手だけの構成になったこともあり、江尻監督時代の繋ぎを強く意識した攻めが展開されるなど、(たしかにどれ1つまともな形になっていないが)90分間を通して様々な攻撃の形を見ることができ、キックオフ直後に感じたネガティブな感情は多少払拭された。
3外国人選手はやはりJリーグ特有の早いサッカーに苦しんでいた。特に1対1で非常にあっけなく相手選手に抜かれてしまうのはこの試合だけにして欲しい。3選手をそれぞれ見ていくと、まずオーロイは高さで勝つというよりも、相手選手はオーロイが気になるあまり簡単にボールの行方を見失い、そこを米倉たちが突くことで機能していた。マットは上体のバランスが悪いのかバタバタとした動きが良くない印象を受けた。また何度も同じ形で相手にドリブルで仕掛けては止められるという行為を繰り返した。この試合に関しては評価が厳しくなっても仕方が無いだろう。サンダーについては、相手のコースを切り勇人にボールを奪わせるという形で機能していた様に思うが、攻撃面では物足りなさを感じた。
3-0という結果程に両者のチーム力の差はなく、個々の選手の能力差によってこの日の結果は生まれたが、開幕戦で大事な勝ち点を落とさなかった点は大いに評価したい。また、ドワイト監督の目指すサッカーに関しては、「守備70%、攻撃20%」の戦術浸透度と考え長い目を持って見ていきたいと思う。
ドワイト監督がアシスタント・コーチを務めていたセフ・フォールセン監督のフィジカルに優れた選手を集め、硬く・味気ないサッカー(そしてサイドバックで突っ立っているだけの本田圭)をどうしても思い出すが、フォールセン監督が解任後の翌シーズンにストイコビッチ監督がフォールセン時代の資産を活かし、ピッチをワイドに使った魅惑的なサイド攻撃を展開していたことを思い返し、焦って結果を求めてはいけないと考えるようにしている。
最後に、この日のMOMは私の中ではオーロイではなく米倉だった。意志を持ったプレーが随所に見られ不安定な選手が多い中で私の眼には非常に頼もしく映った。昨年はケガに泣かされただけに今期は全試合出場を目指して結果を残してほしい。