KALA / M. I. A.

80年代末から90年代までの音楽は、「最先端であること」というのは、いかにデジタルを取り込むか、というテーマに集約されていたように思う。
だが21世紀を向かえ、テクノロジーを導入することによって得られる革新性が踊り場に出てしまったことで、多くのアーティストは道を見失っているように思われる。また一方で、過去の自分の作風に回帰する現象が多く見られたり、テクノ・レイヴ界隈のアーティストが行き詰まりを見せているのは単なる偶然ではないはずだ。
BATTLES などのように音楽に対するアプローチを変えることで新たな可能性を示しだしているアーティストが指示を集めるというケースは目にするものの、大枠においてはこのことが当てはまるように思う。

このデジタル化とは別に音楽を進化させる手法として、民族音楽をエッセンスとして取り入れて行くという手法が存在し、近年ではエレクトロニカ・ムーブメントの一環としてアイスランド出身のアーティストの活躍が目立ったが、テクノロジーの進化がこれ以上見込めない場合(おそらくより生理学的な進化はあっても音声コンテンツとしての進化はない可能性が高い)、このジャンルのボーダレス化的なアプローチをどの様な形で推し進めていくのか、というのが「最先端の音楽」というものに課せられていくテーマのように思う。

というか、そもそもなんでこんな今更なことを書いたかというと、M. I. A. の新作を聞いて、「これは今の時代の最先端かもしれない」と思ったから。鳴っている音にはさほど革新性はないのだけど、ケバくて下品で安っぽい、そんな音だけど、音の向こうにひとびとの日々の暮らしが透けて見える。そんなごった煮状態な音楽に21世紀的なものを強く感じてしまったから。

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カラ KALA
M.I.A.

by G-Tools , 2007/08/13

イビチャ・オシムのサッカー世界を読み解く

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イビチャ・オシムのサッカー世界を読み解く
西部 謙司
双葉社 2007-04

by G-Tools , 2007/05/04

ジェフ監督時の試合レポートを元に、イビツァ・オシム監督のサッカーを読み解いていく一冊。これまでオシム本といえばオシム監督のパーソナリティに焦点を当てたものがほとんどだったが、完全にサッカー戦術に絞り込んで本書はまとめられている。

私が知っているオシムサッカーの全てと当然それ以上の内容がこの本には詰まっている。日本代表でオシム監督がどのようなサッカーを目指していて、そこにたどり着くためにどんな布石を打っているのかをこの本を読むことによって、より見えてくるのではないか。ジェフサポは必読であることはもちろん、日本代表サポを名乗るヒトにも必ず読んで欲しい。

自分にとっては、「西部さんとめぐる臨海の旅」的な内容になっていて、なつかしい気持ちでいっぱいになれるのがいい。この本のDVD版が日本のサッカーの為にも欲しいところ。

GIANT KILLING

週刊モーニングで連載中の「GIANT KILLING」の第1巻。

達海猛35歳、職業サッカー監督。今季より弱小プロサッカークラブ「ETU(イースト・トーキョー・ユナイテッド)」の監督に就任する。現役時代も監督になってからも、大好物は「番狂わせの大物喰い=ジャイアント・キリング」! サッカーを面白くするのは監督だ!

いやー、おもしろい。サッカーを正しく語れるマンガとして非常に期待している作品。
やっぱりリスクマネジメントが徹底されたサッカーよりも、リスクを冒すサッカーの方がおもしろいわけですよ。この辺のことはイビツァ・オシム監督は絶対に譲らない点だったもんなあ。

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GIANT KILLING 1 (1)
綱本 将也 ツジトモ
講談社 2007-04-23
おすすめ平均 star
starサッカー好きにはたまらない!

by G-Tools , 2007/04/30

LANDSCAPE OF ARCHITECTURES

フランスで制作された世界の重要建築物を紹介するドキュメンタリー。インテリア、アート系のDVDは演出に凝ったり、過度に音楽をつけたりと非常ににぎやかな作りのものが多いけれど、淡々とつぶやく様なフランス語のナレーションが心地よいリズムを生み出し、建築を移すことだけに注力したカメラアングルが他にはない臨場感を醸し出してくれる。

あまりに好評で知人に貸したはいいが、もう2年近く帰ってきていないので、もう1セット別に買いなおしたほどお気に入りの作品集。知人にはハラは立たない。だってそれほど魅力的なDVDで、返すことを忘れてしまうのは仕方のないことだから。

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LANDSCAPE OF ARCHITECTURES 2005BOX
サンティアゴ・カラトラバ 伊東豊雄 ウォルター・グロピウス
アップリンク 2005-11-25
評価

by G-Tools , 2007/03/12

AIR'S NOTE / 高木正勝

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高木正勝の新作「AIR’S NOTE」がとてもすばらしい。
「人間と樹の共生」をテーマにしたという話の通り、オーガニックでクリアなやさしさにつつまれた曲たちで構成されている。どの曲も聴きにやすいというかカラダになじみ・癒しを与えてくれる曲と言っても過言でない気がする。
最後のトラック“One by one by one”には作詞とヴォーカルでaqualung ことマット・ヘールズが参加していてさらに癒しのある世界の構築に成功している。

ここ数ヶ月で購入したDVD

最近といっても昨年末から現在に至るまでに購入したDVDの数々。ちゃんと見てないのに次から次へと買いすぎかも。

インサイド・ビョーク
デビューから現在に至るまでのビョークの表現者としての変遷を追ったドキュメンタリー。そこそこおもしろい。

ヴェスパタイン・ライヴ/ロイヤル・オペラ・ハウス
日本でもフル・オーケストラ編成で話題になった時のツアーのライブ映像。フジロックではこの小編成バージョンを見たが、そっちの方がよかった。理由はDVDだとやたらとカメラがすべての出演者を追うので気が散ってなんかいまいち、という感じ。

ミニュスクル
そのヴェスパタイン・ツアーのドキュメンタリー。ライブ映像よりはこちらの方がおもしろい。個人的には“マトモス”のインタビュー映像が見られるのは貴重だと思う。

スティル・グローイング・アップ-ライヴ&アンラップト / ピーター・ガブリエル
PGの最新ライブDVD。ツルッハゲ&巨漢の組合せで、なんというかどっかの宗教の教祖みたいな印象を受けてイマイチ素直に受け入れることができない。曲の構成がいいだけに残念。

HAS HUMAN AUDIO SPONGE Live in Barcelona-Tokyo / HAS
sonar2004 時のライブ映像。運良くこの場に立ち会うことができたので“メモリアル”的な意味で購入したかも。

シリアス・ムーンライト / デヴィット・ボウイ
げっ、“モダンラブ”が入ってない!!

ミース・ファン・デル・ローエ
時間は短いけど非常によい。バルセロナチェアが彼の代表作でないことを確認できる(あたりまえか)。

Frank Lloyd Wright~巨匠建築家 フランク・ロイド・ライト~
こっちは大げさなクラッシクと貧弱な映像(というか静止画)の為、なんか興醒め。最後まで見たことがない。