子供なら誰もが宇宙パイロットにあこがれるというが、かつて私は一度も宇宙パイロットにあこがれたことはなかった。宇宙パイロットになることは最初から無理だと決めつけていたし、パイロットになるための想像を超える努力をしたところで得られるものは「宇宙に行ける」だけのことだと考えるならば、それは割に合わないと残念な考えをしていた。
宇宙に対してその程度の気持ちしか持ち合わせていなかった私だが、水道橋博士が「『2001年宇宙の旅』を初めて劇場で見る衝撃を超えてますよ」とまで熱り人に勧めている姿に興味を持ち「HUBBLE 3D -ハッブル宇宙望遠鏡-」を観てきた。
会場は、今年いっぱいで閉館してしまう大阪港のサントリー天保山ミュージアム内にあるいまや日本で唯一の「本物」のIMAXシアターだ。
もし、今私が6歳の男児でこの作品を観たならば、間違いなく宇宙パイロットになることを目指すだろう。いや、30歳半ばになった今でも心のどこかで宇宙を目指したくなった自分がいる。
理数離れを嘆く日本の教育現場は、小学生全員にこの作品を見せ(もちろんIMAX3Dで)、
宇宙開発に対する夢や希望を抱かせることが、何よりの改善策になるのではなかろうか。
「アバター」のヒットで3D(IMAX3D)は人々にとって身近なものとなったが、この作品の持つ意義やインパクトはアバターのそれを軽く超越する。
例えばスペースシャトルの発射シーン。
何百回とテレビで見たスペースシャトルの発射映像は、正直もう見飽きたと言っても良い。だが、この作品を通して見るとまるで違う。恥ずかしながらこれまで映画「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の発射シーンの方が、よほど迫力があると思っていたがそれは大きな誤りだ。
万が一に備えもう一機発射台にセットされているスペースシャトルがもたらす緊迫感と異様な光景。かつて見たことがない程のエネルギーが費やされていることが一目で分かる点火シーン。そして(高さ20メートルのIMAXのスクリーンだからこそ実現可能な)カメラが固定された状態で、まるで自分の視界の中で起きている出来事の様に、重力に抗いながら宙を目指して上がっていくスペースシャトル。
同じ映像は絶対に見たことがあるはずなのに、全てが初めての「体験」として自分の中に記憶される。
そして何より「宇宙、ハッブル、そして地球」が持つインパクト。
その経験はもう「宇宙遊泳」以外の何者でもない。
美しさを超越して神々しくさえ感じる金色のハッブルの機体との「対峙」、そしてその背面でさまざまな表情をみせる地球、そして極限の緊張状態であることをひと目で認識させる宇宙。
この経験ができるのであれば、例え宇宙に行ってそこで命が果てても良いとさえまで思わせてしまう。
以上の私のこの作品への想いはおそらく滑稽に映る、もしくは嫌悪感を催させるかもしれない。
だけど、これほど体験してみなければ分からない、また体験しないことで失うものが大きなものはないと私は断言できる。
チャンスは10/31まで。宇宙を知らずに死ぬのはこの時代に生まれてあり得ないだろ?
関連リンク
サントリーミュージアム天保山
552-0022 大阪市港区海岸通1-5-10
TEL:06-6577-0001
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