J2:第18節 千葉 vs 札幌

千葉 0 – 3 札幌 (19:03/フクアリ/15,716人)
得点者:5′ 古田寛幸(札幌)、89′ 古田寛幸(札幌)、90’+3 岡本賢明(札幌)

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江尻監督に足りないのは「勝負の怖さ」に対する理解度ではないだろうか。

江尻監督は自分たちの力を100パーセントかそれ以上出すことで勝てると信じていると思えてならない。その力が出ないように相手監督は手を打ってくるし、そのプランが成立しない状況の中でどのような修正を施すのかというのが、勝負のテーブルにつくものに求められるマネジメント力だと思うのだが、現在の指揮官に対してその点について大いに疑問があるし不満もある。

戦前から難しい試合になることは目に見えていた、何故かホームフクアリでは2連敗と分が悪く、さらに「アレックスも、谷澤も工藤も、ワシはよく知っている」と自信を表していた様に、札幌の石崎監督は柏・清水時代に指導したアレックス、谷澤、太田のことを弱点というか「かつての自身を苦しめた苦痛の種(笑)」を熟知し、かつ、千葉ダービーとして、年に何度も対戦したことから工藤や青木良などのことも研究し尽くしていただろう。

その上、エンドも変えたのも「後半、ゴール裏のサポーターがジェフゴールを呼び込まないように」という意図で石崎監督の指示によるものだった。その相手指揮官の勝負に対する身構えに対して、千葉はあまりにも無策に飛び込んでしまった様に思う。

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札幌は案の定「石崎サッカー」のスタイルで試合に臨み、高い位置からプレスを掛けることで千葉のパスが回らないようにして、ボールを奪うと徹底して守備に対して淡泊なアレックスのサイドから攻め込んだ。2失点目はそれが象徴されるようなシーンだったように思う。

千葉は中盤の底に入った中後が巧さを見せ、相手ボールの奪取後にピッチをワイドに使った効果的なパスを供給していたが、前線の選手がそれを活かすことができず、自らチャンスを放棄していた様に見えた。良い形でパスが出たとしても、特にアレックスなどはボールを前に運ぶことよりも自分の足下で落ち着かせることを優先してしまい、結果的に相手に守備を整える時間を許してしまっていた。

前半、中後からの低い弾道のパスを勇人が胸できれいに落としたが(まるで2006年の浦和戦のクルプニ→勇人から巻の決勝ゴールが生まれた様な形だった)、それに続くネットはその流れについて行くことができず、せっかくのチャンスをフイにしてしまってもいた。

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石崎さんの話にばかりなってしまうが、かつて何度も目前でのJ1昇格を逃し「あの人は呪われている」とまで言われた石崎さんが見据えるJ2という戦場の光景と、言ってしまえば苦労なく現在のポジションに座っている青年将校の江尻監督とではあまりに差がありすぎ、今日の試合は当然の結果であるように思えてならない。そんな試合だった。

江尻監督が就任して約1年。同じような過ちを繰り返しそれが改善する気配は見えない。確かに目指すサッカーは素晴らしいし、時折その片鱗も見ることができチームが前進していることは分かる。ただ、理想だけでは勝てないし、今のように相手に対するリスペクトが払われないのなら、サッカーの神様は今日のような審判を下し続けるのではないだろうか。