これほど配給会社のプロモーションが失敗し、作品の周辺情報から生まれる先入観の為に、作品の持つクォリティが全く評価されていない映画も珍しい。
たけくま氏や小飼弾氏が自身らのブログで絶賛しているように、この作品内で実現されている映像世界は、映画史に残るクォリティであると断言できる。
この映画の本質を理解するためには、まず絶対ブルーレイで見なければダメだ。その上でこの作品の「全シーンの尋常ではない配色の完璧さ」に目を奪われ、「3つのレースシーンのトランス感」に身を委ねることで、この作品が「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟の監督作であることを思い出す。
ストーリー自体も監督自身が「自分の幼い姪が、自分たちの作品を1つも見たことがない事実にショックを受けて作った」と告白しているように、誰でも分かる単純明快さがある(だからと言って中身が空っぽではない)。確かに悪ふざけが過ぎるマトリックスを彷彿とさせる格闘シーンがあるものの、それは決して作品の質を損なうものではない。
とにかくラストのレースでのチェッカーを受けたときの絶頂感を味わう為だけでもこの作品を見る価値はある。
スピード・レーサー [Blu-ray]
エミール・ハーシュ, クリスティーナ・リッチ, ジョン・グッドマン, スーザン・サランドン, ウォシャウスキー兄弟
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