ケミカル・ブラザーズは、おそらくこれまで最も多くのステージを観たアーティストのうちの1つで、正直この年のフジロックでは全く期待していなかったアーティストだった。このステージを観たのも積極的な理由ではなく、ホワイトステージに出演予定のフィッシュボーンがキャンセルしたため、という非常に消極的な理由だった。
このステージまでのケミカル・ブラザーズは、使用する映像やセットリストと何よりもその音にマンネリが生じ、完全に食傷気味なアーティストになっていた。その上、「解散するから」という理由で前回フジのグリーンのステージに立ったにも関わらず、その後撤回し主催者ともども腰砕けになったという過去があり、「もういいよ」と本当に期待していなかった。
実際ステージがスタートすると、私の予想は完全に裏切られることになった。
復活作「Push the Button」と「We Are The Night」を軸にしたセットリストや音、そしてVJ映像は一度完全にスクラップ&ビルドされ、「生まれ変わった」彼らは私の生涯ベストライブのかなり上位のステージをプレゼントしてくれた。期待していなかったことを申し訳なく想うと同時に、彼らが最前線に戻ってきたことを本当にうれしくおもった。
また、ハイビジョンの巨大スクリーンを使った映像は、新境地に踏み出し、2年経った今でもこのすきっぱのピエロのドアップをはじめとして、貴重な体験として記憶に深く刻まれている。
それにしても彼らの「発明品」Star Guitar で、転調していくパートの高揚感は最高だ。この年のステージのDVDは本当に欲しい。
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