後にも先にも最も不安に駆られた、というか怖い思いをしたライブ。
この頃のNine Inch Nails は、最も緊張感あふれるアーティストで、シーン全体から注目されている存在だった。そして、このツアーは約5年ぶりの2枚組みの大作「ザ・フラジャイル」のツアーだったこともあり、期待が高まる一方非常に不安な想いをして会場に向かったことを覚えている
このツアーはベイNKホール3デイズの日程で開催されており、私が行ったのはその2日目でこれが大失敗。約10,000人収容の会場には、1,000にも満たない観客しか集まらず、会場全体が非常に寒々しい雰囲気で包まれていた。
ちなみに初日は大盛況、渋谷陽一がその様子を伝えてくれている。
「果たしてライブは開催されるのか?3曲で帰ってしまうのではないか」の不安がほぼ的中し、トレント・レズナーのパフォーマンスは頭から大荒れ。何度もマイクを上空5mほどの高さまで投げ出し、床にたたきつけ、客席に投げ入れた。水のペットボトルも何本も投げ入れた。他のバンドのメンバーに絡み演奏の邪魔をする姿は、完全にやけっぱちにしか見えない。
しかし3曲目を過ぎた辺りから徐々に演奏は安定し、結局2時間近くのセットをすべて演奏し終えてくれた。あの状況で最後までやり切る姿勢にプロ根性を見た気がする。
いま、Nine Inch Nails は大人になってしまい、ライブパフォーマンスにおいては非常に安心できるパフォーマンスを提供しているが、そう考えると非常に貴重な体験をできたと思い、今ではいい思い出になっている。
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