[Book] 日本の「食」は安すぎる

やまけんの出張食い倒れ日記」で有名な山本謙治氏による日本の食卓に対する「安すぎません?」というこれまでなかったアプローチでの問題提起。

「安さ」を代償に見えないところで自分たちのカラダを蝕んでいっている悲しさを痛感する。

私は、この本の中で紹介されている「大地を守る会」を利用しているが、ここで買うことができる農薬にたよらない野菜、有機野菜や肉・卵・魚介類そして添加物を使わない加工食品を口にすることで、いっそう「安さを代償に失っているもの」の尊さを痛感してしまう。でもそれは、キレイ事ではなくて、単に「んまい!」という非常に簡単なことであって、美味い料理を口にする為にお金や時間や移動などの労力を費やすように、「安さを代償としない食材」を口にするために、市販品の食材を手にするよりもちょっとだけ(たいていほんの数10パーセントだけ)いつもより多くお金を払いたくなってくるのも事実である。

実際に、「安さを代償とした」食材からトマトのちょっとした酸味、ニンジンのなんとなく感じる化学薬品ぽさというか舌の中に残る抵抗、牛乳のなんとなく漂うあのクサ味・・・、そんなものが全部なく、とにかく味がやさしく抵抗のないトマト、野菜の具材だけで満足いくスープがつくれるニンジン・じゃがいも・玉ねぎ、歯ごたえや味に深みと逃避の姿勢が見られない畜産製品・・・、とにかく誉めだしたらキリがないほど美味く、口全体で味を噛みしめても決して嫌な気分になることのない食材を口にすると、とにかく「安さを代償にした」食材を買うことそして口にすることがバカらしくなってしまう。

これはとっても贅沢だなあ、と思う反面すべての有機農法は戦前ぐらいまでは100%そうだったんだなあ、と思うと(農薬にたよらない有機農法は自然との戦いで本当に大変なことだけど)、安さを代償に不必要に損をしていると感じてしまう。

なんだか本の紹介というより大地を守る会の紹介になってしまっているが、この本は必読だと思う気持ちは変わらない。

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