黄金のアーチが七色に光りだした瞬間、わらいが止まらなかった。
おそらく史上最も過小評価されたU2のツアーがこのPOP Mart ツアーだった。その理由はこのツアーと連動して発売されたアルバム「POP」の内容が、ボノも「ツアーのスケジュールを優先させる為、サウンドプロダクションの面で妥協せざる得なかった」と述べているように、ファンの期待にそぐわない内容だったからだ。
当時はデジタルとロックとダンスの融合が盛んに叫ばれていた時代で、「POP」も意欲的な取り組みが行なわれたが、10年経った今ではやはり作り込みが不十分だったことは否めない(と言ってもこのアルバムはその点を除けは決して失敗作ではない)。
そういったアルバムの失敗という先入観を受けて、このツアーに対する評価は非常に低くなっているが、高さ10メートル幅50メートルの巨大ビジョンと、マクドナルドのアーチをモチーフとした黄金のアーチ(実はスピーカーの役割も果たしている)の巨大セットは、数々のアーティストのステージを見てきた今となっては、やっぱり最高のステージだった。あと、ポップマートツアーで忘れることが出来ないエピソードとしては、停戦直後のサラエヴォにこのステージという「日常」を持ち込んだことだろう。
おそらく死ぬまでに「このライブを生で見た」と、1番自慢できるライブはこの日のライブだったことは間違いない。
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