The New World

テレンス・マリック監督の最新作「ニューワールド」を観た。

映画のプロモーションとして「一生を変えてしまう愛がある」というキャッチコピーが付けられているが、実際に映画全体を通して描かれているのは、もっと人生の根幹的な部分に触れる“二つの愛”であり、「文明人」として人生を歩むことについての咎が描かれていたように思う。

映像的には、クオリアンカ・キャルヒャー演じる“ポカホンタス”の振る舞いや、監督の敬意を端々に感じるネイティブ・アメリカンの文化の美しさ・深さに、ひたすら目と心を奪われた。
また、ネイティブ・アメリカンの文化やその土地(撮影現場は、どこかの未開の地で撮影されたのではなく、ヴァージニアのまさに“その場所”で行なわれた)に対して、文明の先端の象徴であるはずのロンドンが何とも貧相に描かれるその対比から、アメリカの入植の歴史の延長ともいえる「グローバリズム」によって引き起こされてしまう“喪失”について深く考えてしまった。

ポカホンタス達がそうであったように、それからは逃れられなくても“失う必要まではない”という心を忘れないのは、1つの文化を長い年月を通して育んできた民族の1人として大切な気がする。
最後になってしまったが、コリン・ファレルは俳優として見直したし、クリスチャン・ベールの自分の存在を押し殺した演技は必見だ。

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