ヒトは失ってからその存在の大きさに気づくもの。
このDVDは、2007年に東南アジアで開催されたアジアカップのドキュメンタリー映像だが、そこでは俗に「ベトナム合宿」と言われているように、試合のみならず練習風景もふんだんに取り上げられていることで、オシム監督の指導法を垣間見ることができる教本的な記録映画の一面も持っている。
大会においての結果は、三連覇を逃し結果4位に終わったが、試合中のゲームの進め方、一般にはパス回しと言われているが、実態としてはオフザボールの動き(パスを受ける為の効果的に動くポジション取りの動き)の質の高さを改めて再確認できる上でも、何度も繰り返しになるが非常に貴重な記録だ。
ドイツW杯のアジア予選での試合の映像と見比べることで、フィニッシュおよびフィニッシュにつながるプレイの精度やチャレンジの回数などが批判されているものの、それを差し引いてもなお魅力的な試合をしていたと言えるだろう。
私は、オシム監督の掲げた「日本化されたサッカー」の1つのイメージとして、「良質なコンテンツだからという理由で海外の大会に招致されるサッカーの実現」をイメージしていたが、このアジア杯やオーストリア、スイスで開催された3大陸トーナメント
で披露されたサッカーを見れば、間違いなく私のイメージを軽く達成し、想像だにしなかった結果を得ることができたかもしれない。
「日本は技術、経済などでは先進国ですが、色々な分野でトップでも、サッカーでもそうだというのは結論が早いと思います。」とオシム監督が語ったように、100年を越えるフットボールの歴史と比較すれば、私を含めほとんどの日本人がフットボール自体を理解していないし、(野球のスキームでフットボールを解釈しようとする)誤解すらしてしまっている。
そんな日本サッカーは目先の一勝に囚われずに、正直南ア大会の出場権は逃しても「日本化」を確固たるものとして欲しかった。
「かつてそんな志を携えて日本サッカーに全力で向き合った偉大なる人物がいた」という事実を忘れない為にも、このDVDを多くの人が見るべきだと考える。
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