ふだんはスローペースで本を読むというか、部屋中積本状態で本を買っただけで読んだ気になっている私ですが、私の中では今月は結構数を読んだので記念にリストアップ。しかもどれもおもしろかったし。
今回読んだ本は、結果的に「国策捜査」というテーマを意識して読んでいて、「国策捜査」と言う言葉は、「検察庁・国家の陰謀」といった安易なイメージで語られることが多いけど、実際は佐藤優氏の「国家の罪」で描かれているように、政局や社会のパラダイム転換が生じた際に、変化を象徴的に社会に伝える為に、検察が法解釈の基準をちょっとだけかえて(まるでサッカーの審判のジャッジが変わるように)、一部の人間を犯罪者というかアイコン化すること、というのがよくわかった。
元東京地検特捜部出身のヤメ検弁護士田中森一氏の自叙伝。必要悪を認めず清廉潔白で幼稚な世論こそ真実だと思い込んじゃっている人以外にはオススメの本。この本を出版した幻冬舎の見城さんがやっぱりすごい、と思った。

- 反転―闇社会の守護神と呼ばれて
- 田中 森一
- 幻冬舎 2007-06
- おすすめ平均
正直疲れました
自分の人生を考える時にお薦めです
国家権力の毒
元特捜検事が描く、バブル経済、裏経済と表経済の交錯、国家権力中枢
戦後日本の光と影が描かれています
by G-Tools , 2007/09/01
「反転」の田中森一氏の事件を外側にあたる魚住昭氏の視点から描いた作品。田中森一氏の著書を通しての発言がどの程度公正なものであるのかを検証するために購入。

- 特捜検察の闇 (文春文庫)
- 魚住 昭
- 文藝春秋 2003-05
- おすすめ平均
三つ子の魂、百まで
正義はなにか?
自己主張する検察
慄然とする
いろいろ考えさせられます。
by G-Tools , 2007/09/01
まず読むべし。「外務省のラスプーチン」と呼び彼を犯罪者とみなすことがどれだけ滑稽なことであったのかを思い知らされる一冊。西村検察官とのやり取りは本当に秀逸。「実質識字率5%」、「週刊誌の中吊りとワイドショーで実質的に世論は形成される」という言葉は耳が痛い。あと、鈴木宗男さんすみません。田中森一氏にちょとだけ触れる箇所があって、そこで鳥肌。

- 国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
- 佐藤 優
- 新潮社 2005-03-26
- おすすめ平均
政治の裏側が垣間見えました。
この本から学ぶことは多い。
読むべし
「日本人実質識字率5パーセント」を少しでも上げる意味でも読んでみたい
国家に関わる人間たちの異常性
by G-Tools , 2007/09/01
「国家の罠」を受けて、佐藤優氏の著作を読むという目的で購入。第38回大宅ノンフィクション賞受賞、第5回新潮ドキュメント賞受賞の社会的にも評価を受けた作品。「国家の罠」もそうだが、佐藤氏が過去の出来事を刻銘に記憶していることに、本当に氏の能力の高さを痛感する。ラストの「国家の罠」へのつながりが秀逸。

- 自壊する帝国
- 佐藤 優
- 新潮社 2006-05-30
- おすすめ平均
ソ連の崩壊に巻き込まれながら過ごした青春の物語
「外務省のラスプーチン」が誕生するまで
プロフェッショナルとはを考えさせられる
人と交わること
素晴らしい本だが、警戒しながら読んでほしい
by G-Tools , 2007/09/01
佐藤氏と9.11のアナウンサー元NHKの手嶋氏の対談集。互いに褒めあう姿が気持ち悪いが、軽い気持ちで読めていい。佐藤氏に対するバイアスが残っている人は「国家の罪」を呼んでから手を取った方がよいと思うので入門書には勧められない。

- インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)
- 手嶋 龍一 佐藤 優
- 幻冬舎 2006-11
- おすすめ平均
対談は悪くありませんでしたが……
丁々発止
褒めあい
国際諜報小説を読みふけるような面白さだが、現実世界の出来事となると、、、。
■日本の外交の二人の巨塔による傑作!
by G-Tools , 2007/09/01
87 thoughts on “8月に読んだ本”