音楽が商売道具に成りさがってしまった今

くるり主催のオンパク(京都音楽博覧会 IN 梅小路公園)の開催宣言文。岸田本人が「書き直したい」と言っているので魚拓。

1200年以上の長い歴史の中で、様々な文化を創造し、伝承してきた芸術文化都市京都において、新しい音楽フェスティバルが開催できないかと考えてきました。フェス・バブルと言われて久しい近年の音楽シーンですが、大型音楽フェスティバルの定着とともに、本来音楽フェスが持つ意義/意味も曖昧なものになってきた感が否めないのも事実です。

京都音楽博覧会においては、いくつかの重要なテーマをもとに会場選びから、ブッキングなどを進めています。まず、会場について、くるりの地元京都でおこないたいという強い思いがあり、いくつかの候補地の中から今回の会場である梅小路公園を選びました。

梅小路公園は、平安建都1200年を記念して京都市が都市緑化の一環として整備した都市公園です。京都駅より徒歩15分という、いわゆる都心部に位置しながら、市民や地域住民の憩いの場として親しまれています。

かつて京都では円山野外音楽堂でのコンサートをはじめ、多くの野外コンサートがおこなわれていました。ただ、騒音問題からくる地域問題へと発展し、そのほとんどが現在では過去のものとなってしまいました。それは何も京都に限ったことではなく、他の都市でも同様のケースが見られます。

とはいうものの、京都は国内はもちろん、海外からも音楽的に注目されている土地であり、京都で活躍しているミュージシャンを訪ねてくる海外のミュージシャンや、京都で生まれ育ったたくさんのミュージシャンが国内外で活躍している事実もあります。

音楽がかつて文化の中心だった頃、京都は音楽文化の中心地でした。今でも、伝統音楽は丁寧に代々受け継がれ、演奏されています。

音楽が商売道具に成りさがってしまった今、いちミュージシャンとして、音楽の復権をここ京都を中心として試みていきたいと思っています。時間はかかるとは思いますが、ここ数年京都のミュージシャンや学生たちがいくつかの自主イベントを成功させている土壌は、他の都市では例を見ないものです。

我々くるりは、そのきっかけとしてこの京都音楽博覧会を開催し、今後その発展をくみしながら芸術文化都市としての京都の発展と、世界へ向けた音楽シーンの発展を試みたいと思っています。第一回目となる今年は、その試金石として、地域の皆さんと、この祝祭をともにしてくれる皆さんと、素晴らしいミュージシャンたちにご協力いただければと思っています。

京都と音楽のための、博覧会ができればと思っております。

2007年6月
くるり 岸田繁

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