The Dark Knight (ダークナイト)

これは単なるアクション映画でもましてやブロックバスター映画でもなく人間の本質を永遠に問い掛ける名作である。

クリスチャン・ベイル主演、クリストファー・ノーラン監督・脚本のバットマンシリーズ「バットマンビギンズ」に続く第2作「The Dark Knight」。

前作は「『メメント』のクリストファー・ノーランの撮ったバットマン」ということで、「単に暗いだけでしょ」と、たいして期待せずに観に行って、徹底した世界観の構築と質実剛健なアクションシーン(とほんの少しの渡辺謙)に見事にやられてハマっただけに、ものすごく期待してスクリーンと相対したのだが、期待は裏切られることなく、(スパイダーマン3のように)自分に面白いと思い込ませる必要もなく心底堪能できた。

本作では、映画史に残る演技で「ジョーカー」役を演じた故ヒース・レジャーの演技がなんといっても見所なのだが、その「完全なる無秩序」であるジョーカーはモラル・ハザード化した現代社会をデフォルメ化したものであり、また、各自の胸の内に潜む「ジョーカー」とどう真っ向から立ち向かうのか、妥協・打算でも逃避でも屈服でもなくどう相対するのかがこの作品の最大のテーマである。

善と悪なんて都合のいい解釈ではなく、誰もが心の中に抱える「ジョーカー」といかに向き合うのか・・・。このテーマを「バットマン」という素材を通して観る側に投げかけるクリストファー・ノーランは天才だ。

それにしても何という大人な映画だこと。そしてマイケル・ケインが効いている。

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