映画 「あしたのジョー」

上映後2人の幼い少年がロビーに駆け出しシャドーボクシングに興じる。少年たちの気持ちはよく分かる。私も彼らと同じ年頃であれば、先ほどまでスクリーン上で繰り広げられていた漢たちの姿に魅せられてボクサーになりきり空に拳を突き刺しただろう。
だが私にはそれができなかった。大人だからという理由ではない。彼らとは違う映画の読後感を得たからだ。そして、その少年たちに1つだけ質問をしたかった。

「誰をイメージしてシャドーボクシングをしたのか?矢吹か?それとも。。。」

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HUBBLE 3D-ハッブル宇宙望遠鏡-

子供なら誰もが宇宙パイロットにあこがれるというが、かつて私は一度も宇宙パイロットにあこがれたことはなかった。宇宙パイロットになることは最初から無理だと決めつけていたし、パイロットになるための想像を超える努力をしたところで得られるものは「宇宙に行ける」だけのことだと考えるならば、それは割に合わないと残念な考えをしていた。

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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

「ゾディアック」に続くデヴィット・フィンチャー最新作。

前情報なしで観に行ってしまったこともあって、正直よくわからなかった。
ただ、次々に訪れる死と、ディジーを通じて描かれる人生の曲線(若さと老い)と、彼らを通して描かれる思い出たちは、自らの人生を振り返るような錯覚を覚えさせられた。

何ていうか「ああ、人生ってこんな感じだったよな。」というか。

戦場でワルツを – Trailer

レバノン戦争で戦争の記憶をなくした元兵士の主人公が、自分が記憶をなくした理由を求めてかつての仲間を次々と訪ねるドキュメンタリー映画。ただし物語はアニメーションで描かれていく。

アカデミー賞の外国語映画賞の最有力候補作とも言われ、日本での公開も無事シネスイッチ銀座で決まった。作品の詳細は町山智弘氏出演のTBSラジオ「ストリーム/コラムの花道」のポッドキャストをどうぞ。

The Dark Knight (ダークナイト)

これは単なるアクション映画でもましてやブロックバスター映画でもなく人間の本質を永遠に問い掛ける名作である。

クリスチャン・ベイル主演、クリストファー・ノーラン監督・脚本のバットマンシリーズ「バットマンビギンズ」に続く第2作「The Dark Knight」。

前作は「『メメント』のクリストファー・ノーランの撮ったバットマン」ということで、「単に暗いだけでしょ」と、たいして期待せずに観に行って、徹底した世界観の構築と質実剛健なアクションシーン(とほんの少しの渡辺謙)に見事にやられてハマっただけに、ものすごく期待してスクリーンと相対したのだが、期待は裏切られることなく、(スパイダーマン3のように)自分に面白いと思い込ませる必要もなく心底堪能できた。

本作では、映画史に残る演技で「ジョーカー」役を演じた故ヒース・レジャーの演技がなんといっても見所なのだが、その「完全なる無秩序」であるジョーカーはモラル・ハザード化した現代社会をデフォルメ化したものであり、また、各自の胸の内に潜む「ジョーカー」とどう真っ向から立ち向かうのか、妥協・打算でも逃避でも屈服でもなくどう相対するのかがこの作品の最大のテーマである。

善と悪なんて都合のいい解釈ではなく、誰もが心の中に抱える「ジョーカー」といかに向き合うのか・・・。このテーマを「バットマン」という素材を通して観る側に投げかけるクリストファー・ノーランは天才だ。

それにしても何という大人な映画だこと。そしてマイケル・ケインが効いている。

ゾディアック

デヴィット・フィンチャーの久々の新作「ゾディアック」を見た。

フィンチャー作品と言うと、「セブン」や「ファイトクラブ」を受けて、奇をてらったラストの大どんでん返しを期待してしまいがちだが、これは1960年代に実際に起こった事件を題材にしたノンフィクションのベストセラー小説を実在にしていることもあり、監督本人が認めるように完全に「大統領の陰謀」に代表される、ゆるやかに、だか着実に物語が進んでいく昔ながらの手法で作られた名作の水準にある映画。

最近では、スピルバーグの「ミュンヘン」や「L.A.コンフィデンシャル」といった作品が記憶にあたらしいが、ナレーションで補足することなく登場人物の心理描写を演技だけで表現しつづけ、薄っぺらい演出や演技に逃げることなく物語を描ききっている。ただし、デートには決して向かない映画。
この手の作品の「電話」の演出が好きだなあ。あと、よくよく考えると主人公誰なのか終盤にならないとわからない(笑)。

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大統領の陰謀
ダスティン・ホフマン アラン・J・パクラ ロバート・レッドフォード
ワーナー・ホーム・ビデオ 2007-05-11

by G-Tools , 2007/07/01

ブラッド・ダイアモンド

宝飾業界からの圧力かイマイチ話題になっていないような気がする「ブラッド・ダイアモンド」を観た。

「紛争ダイア」をテーマにしているけれど、全編を通してエンターテイメントで満ち溢れている。監督が「明らかなもの」と「不確かなもの」を組み合わせることでストーリーが完璧なものになる、と言っているように、キャリア最高の演技と誉れ高いディカプリオ演じるアーチャーの「選択」が最後までストーリーを緊張感あるものにしてくれる。

同じ紛争ダイヤというかアフリカの紛争をテーマとして扱っている「ロード・オブ・ウォー」を前もってチェックしておくといいかもしれない。

それにしてもボクたちはもうちょっと「無視しない勇気」をもたなきゃいけないのかもしれない。
今日は朝からFlickrで映画の舞台シエラレオネの写真を探しまくりでした(笑)。