デヴィット・フィンチャーの久々の新作「ゾディアック」を見た。
フィンチャー作品と言うと、「セブン」や「ファイトクラブ」を受けて、奇をてらったラストの大どんでん返しを期待してしまいがちだが、これは1960年代に実際に起こった事件を題材にしたノンフィクションのベストセラー小説を実在にしていることもあり、監督本人が認めるように完全に「大統領の陰謀」に代表される、ゆるやかに、だか着実に物語が進んでいく昔ながらの手法で作られた名作の水準にある映画。
最近では、スピルバーグの「ミュンヘン」や「L.A.コンフィデンシャル」といった作品が記憶にあたらしいが、ナレーションで補足することなく登場人物の心理描写を演技だけで表現しつづけ、薄っぺらい演出や演技に逃げることなく物語を描ききっている。ただし、デートには決して向かない映画。
この手の作品の「電話」の演出が好きだなあ。あと、よくよく考えると主人公誰なのか終盤にならないとわからない(笑)。