ゾディアック

デヴィット・フィンチャーの久々の新作「ゾディアック」を見た。

フィンチャー作品と言うと、「セブン」や「ファイトクラブ」を受けて、奇をてらったラストの大どんでん返しを期待してしまいがちだが、これは1960年代に実際に起こった事件を題材にしたノンフィクションのベストセラー小説を実在にしていることもあり、監督本人が認めるように完全に「大統領の陰謀」に代表される、ゆるやかに、だか着実に物語が進んでいく昔ながらの手法で作られた名作の水準にある映画。

最近では、スピルバーグの「ミュンヘン」や「L.A.コンフィデンシャル」といった作品が記憶にあたらしいが、ナレーションで補足することなく登場人物の心理描写を演技だけで表現しつづけ、薄っぺらい演出や演技に逃げることなく物語を描ききっている。ただし、デートには決して向かない映画。
この手の作品の「電話」の演出が好きだなあ。あと、よくよく考えると主人公誰なのか終盤にならないとわからない(笑)。

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大統領の陰謀
ダスティン・ホフマン アラン・J・パクラ ロバート・レッドフォード
ワーナー・ホーム・ビデオ 2007-05-11

by G-Tools , 2007/07/01

ブラッド・ダイアモンド

宝飾業界からの圧力かイマイチ話題になっていないような気がする「ブラッド・ダイアモンド」を観た。

「紛争ダイア」をテーマにしているけれど、全編を通してエンターテイメントで満ち溢れている。監督が「明らかなもの」と「不確かなもの」を組み合わせることでストーリーが完璧なものになる、と言っているように、キャリア最高の演技と誉れ高いディカプリオ演じるアーチャーの「選択」が最後までストーリーを緊張感あるものにしてくれる。

同じ紛争ダイヤというかアフリカの紛争をテーマとして扱っている「ロード・オブ・ウォー」を前もってチェックしておくといいかもしれない。

それにしてもボクたちはもうちょっと「無視しない勇気」をもたなきゃいけないのかもしれない。
今日は朝からFlickrで映画の舞台シエラレオネの写真を探しまくりでした(笑)。

「それでもボクはやっていない」を観た

真摯な映画。

ほぼ日の対談で語られているように本当に丁寧に作られた映画。1つひとつの演技がとても“普段”として描かれていて、ボクらが生きている日常が非常に危なげな構造の上に成り立っていることを一層リアルに受け取ることができる。これだけ真摯な態度で来られると批判対象となる“国家権力”側も真摯に応えないと失礼だろう。
また、SEを全く使わない演出で裁判所をはじめ、すべてのシーンが臨場感があふれていて、この臨場感を体験するためにも映画館で是非とも観るべき。

あと、裁判官役を演じた大人計画の正名僕蔵さんの演技がよかったなあ。

Goal!

Goal !

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なんとなく「後ろめたいお金のニオイ」がして、こういう映画は「敬遠するのが勝ち!」みたいなケースが多いけれど、この3部作の一大叙事詩Goal!は、おすぎさんも認めていた、最大級の娯楽映画です。

FIFAやプレミアのニューキャッスルが前面強力しているだけあって、「エニー・ギブン・サンデー」の迫力を参考にするために、オリバー・ストーン本人に教えを乞えたという“練習場のシーン”や、何と言っても大画面でみるスタジアムでの試合の試合は、まさに本物のスタジアムの興奮を感じることができる見事な絵作りです。

とくダネの小倉さんが「あんな走り方のドリブルで止められないなんてウソっぽい」と、知ったかのツッコミを入れていましたが、2002年のW杯の準決勝ブラジルvsトルコ戦のロナウドのドリブル~つま先シュートを幸運にも目の前で見ることができて、「えっ、止めればいいじゃん」という単なるドリブルなのに4人ほどの選手が誰も止められない姿を見たことがある人間としては、まったく気にならないです。

「何故、ニューキャッスルなのか?」というのは、プレミアでアディダスと契約している強豪チームは、実はニューキャッスルまで降りて(?)こないとダメだということに気づいて、妙に納得したけど、選手が履くために並べられているシューズが全てアディダスというのはちょっと違和感ありありだった(笑)

あと、エンドクレジットで流れるオアシスの「Who Put The Weight Of The World On My Shoulders?」も、ノエル絶好調な名曲なので、こちらも要チェックです。

いずれにしても、サカオタでも日本代表の試合をテレビで見る程度のサポーターもみんな是非とも大画面で見るべきのスバラシイ映画なので、是非是非映画館でチェックしてください。(スタジアムの空気感がスクリーンで見ないと伝わってこない気がするのです)

ナイロビの蜂

映画「ナイロビの蜂」を観た。監督が「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス監督だけあって、映画会社がプロモーションしているような単純な「夫婦の恋愛映画」ではない。たしかに映画の根底をしっかりと「夫婦愛」というテーマが支えているけれど、基本的にはこれはサスペンス映画である。
そして、舞台となるナイロビのスラムとそこで生活する人々、そしてアフリカの雄大な自然を「シティ・オブ・ゴッド」の監督ならではの手法で描ききった作品である。
原題の「The Constant Gardner(=オレはずっとガーデニングだけだった)」でもたしかに映画のタイトルとしては難しいけど、「ナイロビの蜂」というタイトルで相当損をしている“傑作”と言ってもはばからない作品だと思う。この作品でレイチェル・ワイズがアカデミーの助演女優賞を受賞しているのもそれを物語っている。
しかし、作品の内容に反してここまで話題になっていないと、「ある団体」から圧力が掛かっているような気がしてならない(←ネタバレです)。

The New World

テレンス・マリック監督の最新作「ニューワールド」を観た。

映画のプロモーションとして「一生を変えてしまう愛がある」というキャッチコピーが付けられているが、実際に映画全体を通して描かれているのは、もっと人生の根幹的な部分に触れる“二つの愛”であり、「文明人」として人生を歩むことについての咎が描かれていたように思う。

映像的には、クオリアンカ・キャルヒャー演じる“ポカホンタス”の振る舞いや、監督の敬意を端々に感じるネイティブ・アメリカンの文化の美しさ・深さに、ひたすら目と心を奪われた。
また、ネイティブ・アメリカンの文化やその土地(撮影現場は、どこかの未開の地で撮影されたのではなく、ヴァージニアのまさに“その場所”で行なわれた)に対して、文明の先端の象徴であるはずのロンドンが何とも貧相に描かれるその対比から、アメリカの入植の歴史の延長ともいえる「グローバリズム」によって引き起こされてしまう“喪失”について深く考えてしまった。

ポカホンタス達がそうであったように、それからは逃れられなくても“失う必要まではない”という心を忘れないのは、1つの文化を長い年月を通して育んできた民族の1人として大切な気がする。
最後になってしまったが、コリン・ファレルは俳優として見直したし、クリスチャン・ベールの自分の存在を押し殺した演技は必見だ。

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Live Forever

映画「リヴ・フォーエヴァー」をみた。
映画を見て驚いたというか改めて気づいたのは、自分が大学に入学したころブリットポップが始まり、卒論を書いているころに終焉を向かえた、まさにブリット・ポップ世代であることだった。
映画自体は、別にブリット・ポップの裏側を暴くといったたいそうなものではなくて、ロッキン・オンをはじめとする音楽媒体に目を通していたり、当時せっせとCDを買っていたなら誰でも知っている程度の内容だけど、すべてをリアルタイムで通過した分、まるで自分の昔話を見させられている気分になった。
Plupの「This Is Hardcore」とoasisの「Be Here Now」には、確かに幻滅したし、その頃は常に「OK Computer」が自分の中で常に鳴っていたことも思い出した。
とちょっとおセンチな気分に浸ってしまったが、ノエルとリアムのバカ兄弟がインタビューに正面から答えている貴重なフィルムだと思うので、ぜひ見ることをお勧めします。
ま、現在のオエイシスに必要なことは「兄貴が歌わない」ことに他ならないのだけど(笑)。

ミトン

かわいい!かわいすぎる!
「イヌがほしい」という思いが募って手袋がイヌになっちまう設定がまたイカス!
思わず買っちまいそうです「ミトン」のDVD。
つーことで、こんなにかわいいミトンのぬいぐるみを「ツボにあたってちょうどいい」と座布団代わりにしているだれかさんに異議あり!(笑)。

LIVE FOREVER

いまとなっては非常に恥ずかしいことなのだが、オアシス vs ブラーの頃、自分はどちらかというとブラー派だった。まあ、「whatever」を手に取るまでの短い期間だったんだけど。ケミカルは「あいつら絶対ホモだ」としか言われない存在で、プロディジーは怖い&ヤバイ人たちで、マッシブは「難しい」で片付けられて、underworldは「バスタブで頭を振ってる“少年”」程度の話だった。(えっと、プライマルは何だろう!?)パルプは、その解りやすさからみんな好きだったけど、radioheadに至っては「暗い」としか言われてなかった。スウェードも好きだった。
あの時代は、「“デジタル”をいかにロックに組み込むか?」っていうテーマがメインストリームにはあって、U2が必死になってガンバってたけど、ケミカルとプロディジーの3年は遅れていた。つか、10年経ってそんなことどうでもよくなっている今の時代はステキだ。
そんなことをふと考えちゃう映画「リヴ・フォーエヴァー」が公開される。行かなきゃ。