[Live] 電気グルーヴ フジロック'06 2006.7.29

ファン歴13~14年目にしてようやく電気グルーヴ(以下“電気”)のライブをナマで体験することができた。

電気のステージは、フジ2日目のグリーンのトリ前だったが、セットは前年の2日目のヘッドライナーのファットボーイ・スリムと同じだった(あの巨大モニターの上にDJセットが置かれるやつ)。実質ヘッドライナー扱いだということか。なるほど、第1回目の初日のメインステージのトリのレッチリと、セカンドステージのトリ前(トリはエイフェックス)の電気というストーリーが仕込まれている。つまり、ダブル・ヘッドライナーだった訳だ。

92年当時の電気を知る人間からすると「単なるキワモノだった彼らが、まさかここまで大御所になるとは」と非常に感慨深いものがあった。
デビュー当時電気は“WE ARE”で「日本語ラップグループ」として紹介されていたことが、TMNの「rhythem red beat black」を対バンカバー(?)していたころが、砂原良徳が「カルトQ」のYMOの回で、素人を押さえて優勝したことが、すべてウソのようだ。同一人物にはとても見えない。「俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ」の頃の電気とはケタ違いだ。

ステージの方も、デビュー期(UFO)から現在に至るまでのアルバムのジャケットのアートワークをあしらったVJが使われ(とはいえ、フラッシュパパとオレンジとカラテカはなかった)、なんだか電気のこれまでを総括するようなステージ構成だった。

セットリスト的にも、ニート時代の卓球自身のことを歌った「N.O.」から始まり、生まれ変わってのデビュー作「ビタミン」収録されている、収録するにあたってレコード会社と「インストの曲はいれるな!」と大揉めになった「新幹線」や、あえて岡村ちゃん参加の「オレンジ」から「スマイレススマイル」をチョイスし、「オレンジ」頃の不遇期をブレイクスルーした、「自分達のビートは日本にもあった」という発見を歌っている「A」収録の「かっこいいジャンパー」(そう、地元で見つけたジャンパー)などが歌われ、瀧のコスプレ富士山もあり、最後は「虹」で締める、という長年彼らと人生を伴にした人間にとっては非常に感慨深いステージとなっていた。

何度か曲ごとに、その曲の頃の自分を思い出し涙したりと、自分の半生と照らし合わせ勝手に総括してしまった時間を過ごしたように思う。

ソロになり充実した作品を提供し続けている砂原良徳を含め、ずっとこの人たちを好きでよかったし、はじめて見るステージが、この3万人を超えるフジのグリーンステージでよかったと、こころから思った。

卓球は、テクノ界の重鎮のうちのひとりとなり、日韓W杯の公式ソングのリミックスを手がけるまでになったし、瀧は瀧で、ポンキッキーズへの出演を皮切りに、あらゆるメディアに登場するようになり、いまやミラクルさんとしてOLのハートを鷲づかみである。また、公共インフラのCMで織田信長としても大活躍である。

はじめて電気にふれた日、カラテカをテープにダビングしたあの日のことを今でも覚えている。ハッピーバースデーを始めて耳にして、「やったー!」と声を上げた日を今でも覚えている。虹を聞いて涙を流した日を今でも覚えている。なぜか電気に関する記憶だけは鮮明に頭の中に残っている。

そういえば、高校の卒業式の日にお互い電気のファンであることをはじめて知った、「オレ、明日からN.O.の世界の状態だよ」といっていたキムラくんは、今頃どこで何をしているのだろう。

photo
Live at FUJI ROCK FESTIVAL ’06
電気グルーヴ
キューンレコード 2007-10-24

by G-Tools , 2008/02/20

[Live] マドンナ Confessions Tour 東京ドーム 2006.9.20

この信じたくないほどのいそがしさの最中、マドンナの「コンフェッションズ・ツアー」を観て来た。

東京ドーム公演だったが、東京ドームでライブを観るのは、98年のU2のポップマート・ツアー以来。席はアリーナだったものの、もっとも外側の席だったため自分の後ろに観客がいない状況下での観賞となり、イマイチ場の盛り上りに付いていけなかった気がする。(なんかフジなんかに比べると、圧倒的にPAが貧弱な気がした。ステージの豪華さに全然着いていけていない感じ。)なんだか巨大なセットで繰り広げられる数々のパフォーマンスを客観的に見てしまった、そんな感じ。

たしかに48歳のマドンナのパフォーマンスはスゴイ!のひと言だった。10年前に48歳のデヴィット・ボウイのステージを見たときも、「体力スゲー!」と感動したものだったが、その時のボウイよりも数倍はマドンナのパフォーマンスは上回っていた(動き、と言う意味で)。

多面的なビジョンや、空中に吊るされ必要となると降りてくる特設ステージや、ライク・ア・ヴァージンの小道具?の木馬など、非常にバラエティに富んだセット構成だったが、新作の「コンフェッションズ~」のテーマ性を活かし、このショーの中でも中心を占めていた十数名のダンサーによりフォーカスを当てた、ソリッドなステージにしてもおもしろかったような・・・、といってもそこはマドンナだから無理か(笑)。

それにしてもマドンナは、「ray of light」から見事に立ち直った奇跡の人だ。本人もインタビューで答えていたけど、この作品の前に映画「エビータ」のために導入したボイストレーニングが、彼女の「キンキン声」を矯正し、ダンステクノ、エレクトロニカとマッチする神秘性の高い低~中音で歌うようになったのが、一番のポイントだと、わたしはとらえている。

何はともあれマドンナのライブを観れてよかった。ドーム公演は2度とごめんだと改めて思ったけど。